男性の勃起をサポートするED治療薬として有名なバイアグラがあります。
対して、女性用のバイアグラというのは存在しないのでしょうか?
実は、女性の性的欲求低下障害の治療薬としてFDAの承認を得ている、いわば女性用バイアグラとも呼べる「フリバンセリン」という治療薬があります。
しかし、フリバンセリンはその効果・効能が確かなものであることが認められている一方で、いくつかの問題も抱えていることから、あまり普及していないのが現状です。
この記事では、フリバンセリンの効果・副作用・問題点について詳しく解説します。
目次
女性用のバイアグラ「フリバンセリン」の概要
早速フリバンセリンがどの様な治療薬なのか見ていきましょう。
ちなみに、フリバンセリンは成分名であり、商品名は「アディー」といいます。
具体的な効果について解説していきます。
性的欲求低下障害(HSDD)に作用する
フリバンセリンは性的欲求低下障害、つまり性欲が減退してしまう女性特有の症状に対して効果を発揮するとされる治療薬です。
男性の場合は、原因は様々ではあるものの、EDとはペニスが勃起しなくなってことを指します。
一方で女性の場合、男性の様に、勃起不全から物理的にセックスができないといったことはなく、セックスに関する関心や性的な思考が失われてしまう状態が男性でいうEDに該当するといえるでしょう。
これを性的欲求低下障害(HSDD)と呼び、フリバンセリンはドーパミンの分泌促進と2種類のセロトニン調整によってこれを改善します。
血流改善によって勃起をサポートするバイアグラとは異なり、ホルモン分泌にアプローチする治療薬であるため、「女性用バイアグラ」と呼ばれることが多いものの、実際には全くの別物といえるでしょう。
アメリカ食品医薬品局(FDA)では認可されている
冒頭でも軽く触れましたが、フリバンセリンはアメリカ食品医薬品局(FDA)の認可を得ている治療薬です。
実はフリバンセリンは承認を得るまでには2度の審査で却下されており、3度目でようやく承認されました。
却下された理由は、副作用のリスクが高いということが懸念されたためです。
その様な理由からかはわかりませんが、厚生労働省ではフリバンセリンを認可していません。
日本国内ではフリバンセリンはほとんど普及していません。
女性用のバイアグラ「フリバンセリン」の抱える問題
ここからは、女性用バイアグラと呼ばれるフリバンセリンがどの様な問題を抱えているのかを詳しく見ていきましょう。
即効性に欠ける
1つ目の問題点は、即効性が無いということです。
バイアグラはセックスの前に服用することで直ぐに効果を得ることができます。
フリバンセリンは毎日継続的に服用する必要があり、効果が現れるまでになんと数ヶ月もの期間を要します。
しかし、性欲が減退してしまうという人生を大きく左右する問題が解消できるのであれば、数カ月間薬を摂取することはそれほどハードルが高くないように思えますね。
では、なぜこれが問題になるかというと、フリバンセリンは副作用のリスクが高い治療薬であるためです。
副作用が懸念され、過去2回審査で却下されたことがある
フリバンセリンが副作用のリスクを理由に2度FDAの審査を却下されたとお伝えしましたが、具体的な副作用としては、次のようなものが挙げられます。
- 低血圧
- 失神
- 吐き気
いずれも重大な副作用ということができますね。
さらに、1543人を対象に行われた治験の段階では、なんと12.8%もの被験者が副作用を理由に脱落するなど、高い発症率も懸念されています。
さらに、副作用がアルコールとの併用によって発症しやすくなるため、治療薬の服用期間中はお酒を飲むこともできません。
この様に、長期の服用が必要にも関わらず重大な副作用のリスクが高く、さらにアルコール摂取が制限されてしまうという問題がフリバンセリンにはあるのです。
人によっては効果がないケースもある
フリバンセリンのさらなる問題点としては、無事副作用が表れなかったとしても、治療薬の効果が得られない女性も一定数いるということです。
特に、一時的な性欲低下などに悩んでいる女性に対しては効果が期待しづらいのではないかと考えられており、性欲低下の原因となっているストレスの緩和や抗うつ剤の服用中止といった対策の方が、より大きな効果が得られる可能性があるとする意見もあります。
また、その効果の大きさについても疑問視する声があります。
バイアグラを服用した男性の多くは、劇的な効果を実感してセックスに対する満足感を取り戻していますが、女性の場合には、満足行くセックスができたと感じるセックスの回数が、フリバンセリンを服用したグループで平均4.4回、偽薬を服用したグループで平均3.7回、調査前のアンケートでは平均2.7回と、大きく改善されたと言って良いかどうか難しい結果となっているのです。
国内では購入できず、個人輸入でしか入手できない
日本国内に限った話でいえば、フリバンセリンは厚生労働省によって認可されていないため、個人輸入で購入するしか入手方法が無いという問題点が挙げられます。
個人輸入は偽造薬を始めとする様々なリスクがあるため、おすすめできません。
少なくとも現在の日本においては、セックスに対して悩む女性に対する有効な正規の治療方法が無いとう状況なのです。
まとめ
女性用バイアグラと呼ばれるフリバンセリンについて解説しました。
性欲が低下してしまうHSDDに悩む女性にとって、フリバンセリンは希望となる治療薬ではありますが、副作用を始めとするリスクが大きいため、あまり普及していないのが現状と言わざるを得ません。
男性にとってのバイアグラの様に、女性のセックスに関する悩みを解消してくれる新薬の開発が待たれます。